日本が世界に誇る伝統工芸品の日本刀。日本刀は美術品や史料としての価値だけでなく、資産としても非常に価値が高く、世界中に日本刀の愛好家やコレクターが存在しています。そして、日本刀作刀の技術も、現在までしっかりと継承されており、価値ある日本刀が生み出されては、人から人へと渡り継がれているのです。もし、人から刀剣類(日本刀)を相続したとき、または、亡くなった親族の遺品整理で、予期せずに日本刀を発見したときなどには、どのように対処すれば良いのでしょうか。刀剣類(日本刀)の処分方法を知らずに、そのまま放置したがために、法律違反になってしまうことがないように、刀剣類(日本刀)の適切な処分方法をご紹介します。
目次
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刀剣類(日本刀)を処分する前に確認すること
日本刀を相続したときや、思いがけず日本刀を発見した場合、処分をする前に、まず確認しなければならないことがあります。
銃砲刀剣類登録証の有無
日本では、許可や登録のない刀剣類(日本刀)を所持、また運搬、売買をすることは、「銃砲刀剣類所持等取締法」で禁止されています。
日本刀を相続したときや、発見した場合、該当する日本刀の「銃砲刀剣類登録証」の有無を確認しましょう。
銃砲刀剣類登録証は、国が該当する刀剣類を価値ある骨董品・美術品として認めることを証明する公文書。この銃砲刀剣類登録証を発行しているのが、各都道府県の教育委員会です。
日本刀を売買するときや運搬するときには、必ずこの銃砲刀剣類登録証の所持が義務付けられています。そしてもちろん、相続する際にも必要となり、銃砲刀剣類登録証がなければ処分、売却、贈与することもできないので注意しましょう。
この銃砲刀剣類登録証がない場合、また、銃砲刀剣類登録証の名義変更をしたい場合なども、各都道府県の教育委員会にて手続きが可能。銃砲刀剣類登録証の発行には、発行申請をした教育委員会の担当より通知される場所で行われる、審査会の審査を通過する必要があります。また、この審査会は委任状があれば、家族や第三者が手続きすることも可能です。
なお、この審査会で美術品・骨董品としての価値が認められず落選してしまった場合は、警察により適切な方法で廃棄処分となります。ただ、柄(つか)や鞘(さや)など、刀剣のパーツだけ形見として持ち帰ることができた例もあるので、教育委員会の担当者や警察に相談、交渉をしてみましょう。
刀剣類(日本刀)を処分する方法
日本刀は、本質的に殺傷能力の高い武器。そのため、一般ごみとして廃棄することはできません。ごみの中に日本刀があれば大騒ぎになりますし、犯罪に利用されたり、ごみ収集作業員が怪我をするリスクが伴うからです。日本刀は日本独自の伝統工芸品であると同時に、人に危害を加える可能性がある物という認識を持ち、適切な方法で処分することが大切。ここからは、日本刀の適切な処分方法をご紹介します。
買い取り業者に売却する
銃砲刀剣類登録証がある日本刀は、専門の買い取り業者に依頼して売却することができます。保管状態などの要因により、必ず値段が付くとは限りませんが、例え無銘(むめい)の日本刀であったとしても、文化的な価値が付く場合も。
そして、売却を検討している日本刀の価値を知るために、「鑑定書」を出してもらうのも良いでしょう。銃砲刀剣類登録証が、国が骨董品・美術品として価値があることを認める証明であるのに対して、鑑定書は、その日本刀の時代や作者を示し、適切な価値を定める材料となるため、売却価格を決めるのに役立ちます。
この鑑定書は公的機関ではなく、「公益財団法人 日本美術刀剣保存協会」のような公益法人や、鑑定を行っている美術館・博物館、そして、個人の鑑定士などに依頼をして発行してもらうことができるのです。注意が必要なのは、該当の日本刀に銃砲刀剣類登録証がなければ、鑑定や売却ができないという点。日本刀が鑑定書によってしっかりした価値を付けられれば、安心して売却することができるでしょう。
また、将来自分の子供が日本刀の処分に困らないようにと、日本刀の売却を考えた場合、基本的には銃砲刀剣類登録証があれば売却は可能です。しかし、売却手続き上、銃砲刀剣類登録証の名義変更が必要になる場合もあるため、買い取り業者に相談をすることをお勧めします。
財産分与による銃砲刀剣類登録証の名義変更も、各都道府県の教育委員会で手続きができますが、警察署でも同様の手続きができる場合もあるので、銃砲刀剣類登録証の名義変更が必要になった際には、教育委員会、または管轄の警察署に問合せましょう。
警察署へ届け出る
日本刀を相続した場合以外でも、遺品整理をしていて日本刀が見つかるケースもしばしば。例えば、一見して明らかに状態が悪く、売却するのもためらわれるような場合には、警察署で、無料で処分してもらうことが可能です。
手順としては、まず銃砲刀剣類登録証の有無を確認し、日本刀を発見した場所の管轄にある警察署の生活安全課に連絡をしましょう。警察に届け出る過程で、場合によっては警察官が日本刀の発見場所を訪れて、証拠写真を撮影することも考えられます。
そのため、ここで注意しなければならないのは、銃砲刀剣類登録証の有無に関係なく、いきなり警察署に日本刀を持ち込むことは避けること。発見した日本刀は、できるだけ発見場所から動かさずに、警察署に連絡をして指示を仰いだ方が、あとの手続きを行う上でも間違いがありません。
そして、警察に指示を仰いだあと、「刀剣類発見届」を出す手続きを行います。この刀剣類発見届の手続きには、日本刀の現物、印鑑などが必要です。基本的には世帯主が手続きを行い、第三者が代わりに手続きすることは認められません。刀剣類発見届が受理されると、警察が適切な方法で日本刀を処分してくれるのです。
また、例外として、模造品の日本刀に関しては、銃砲刀剣類所持等取締法が定める規制対象からは外れるため、一般ごみとして廃棄することが可能。しかし、本物の日本刀と見分けがつかないほど、あまりにも精巧な作りの模造刀(もぞうとう)は、一度、警察署に相談することをお勧めします。
日本刀を寄贈する
日本刀の処分方法のひとつとして、国公立の美術館や博物館に寄贈することも。現在、銃砲刀剣類登録証の有無にかかわらず、文化的・美術的価値から、一般公開することを前提に、日本刀の寄贈を受け入れている文化施設も多く存在しているのです。
日本独自の伝統工芸品である日本刀の作刀技術は、現在でも継承され、世界的にも大変評価されています。
審査会に落ちてしまったり、鑑定での価値が低かったりなどの理由で処分されるような日本刀だとしても、作刀技術を次世代に継承していくという意味で、所蔵・保管したいと考える施設関係者が、数多く存在しているのも事実。
日本刀を博物館や美術館に寄贈する手順としては、各施設の公式サイト等を確認し、適切な窓口に連絡をして、日本刀を寄贈したい旨を伝えます。その後、担当者の指示を仰ぎ手順通りに行うことで、施設への寄贈が可能に。
刀剣類(日本刀)の処分方法 まとめ
遺品整理の際に日本刀を発見し、そのあとの処分に迷った場合、まずは、銃砲刀剣類登録証が発行されているかどうかを確認することが大切です。日本国内において銃砲刀剣類登録証が付属していない日本刀は、所持したり持ち運んだりすることは、銃砲刀剣類所持等取締法によって禁止されています。銃砲刀剣類登録証がない場合、また、銃砲刀剣類登録証の名義人変更が必要な場合は、各都道府県教育委員会の刀剣担当に連絡をして、必要な手続きを完了して下さい。
次に、該当の日本刀を処分するか、自宅で保管するかを決めましょう。日本刀の処分方法は、買い取り業者に依頼、警察署に届け出る、国公立の施設に寄贈するなどの方法があります。手続き等で分からないことがあれば、それぞれ窓口の担当に相談して下さい。
日本独自の伝統工芸品である日本刀。その文化的価値を次世代に受け継ぐためにも、また、人を傷付けないためにも、適切な処分方法を選択することが大切です。
遺品整理で出てきた猟銃や弾の処分方法
遺品整理の片付けをしていて猟銃や、その弾が出てきた時の処分方法です。猟銃を所有するには免許が必要です。
故人が所有者である場合、亡くなった時点で許可が失効となり、失効日より50日以内に処分しなければなりません。銃などの取り扱いは法律違反にも繋がります。
期日が過ぎてしまったり、間違った処分をしない為に猟銃や弾の処分方法をまとめました。
・猟銃 3つの処分方法 ・猟銃の弾 処分方法 |
それでは、上記の順でお伝えします。
猟銃 3つの処分方法
①警察署に依頼して破棄する
免許保有者が故人以外にいない場合は速やかに、地域の生活安全課に廃棄を依頼してください。失効日より50日以上経過し、そのまま所有し続けた場合は銃は、銃刀法違反弾は、火薬類取締法違反に、問われることになります。
そして、気を付けてもらいたいのは必ず「先に電話で破棄の依頼をする」事です。
自分たちで警察に持ち込まないでください。
例えば、持ち込む際に、警察の職務質問を受けたり、何らかの事故があり所持品を確認された場合には上記にある銃刀法違反・火薬類取締法違反となる可能性があります。
遺品で銃が出てきた事、破棄したい旨を説明し警察の指示に従って手続きをしてください。
②銃砲店に譲渡する
鉄砲店に持ち込むことも、処分方法の1つです。
譲渡する場合、相手方が許可を持っていなければいけませんが銃砲店の場合はいつでも譲り渡せます。お近くの鉄砲店に手続きについて確認してみましょう。
店舗によっては処理費用が掛かる事があります。
③相続者が許可を取得する
所有者が亡くなってから50日以内に相続者が免許を取得すれば銃を保持することが可能です。
ただし、講習・検定・実弾試験などで取得までに相当な費用と日数がかかってしまうようです。
猟銃の弾 処分方法
法律により、弾は相続できません。銃と同じく、地域の生活安全課に連絡し警察の指示に従い、書類作成やら銃砲店へ処理依頼をします。銃砲店での処分には弾1発あたり100~200円の処分費用が掛かり残弾数が多いと処分費に数万円にもなる場合もあります。
事前に料金を確認しておく方が良いと思います。
まとめ
・処分方法1: 警察署に依頼して破棄する ・処分方法2: 銃砲店に譲渡する ・処分方法3: 相続者が許可を取得する ・弾の処分方法: 銃砲店に処分を依頼(有料) |
結論:遺品整理で出てきた猟銃や弾の処分は地域の警察の「生活安全課」に廃棄を依頼し指示に従って手続きをしてください。
自分たちでの警察への持ち込みはやめましょう。